仏像修復

常花

木地製造工程 1

材料は木目が細かく粘り気があり仏具に適しているとされている姫小松を使用。加工及び細工がし易く、曲線部分に適しています。
使用する用途により原木(原木の根元の方で節は少ないが堅い)、2番木(原木の元木より末の方で節が多いが原木よりやわらかい)を選び、さらに水割れ(年輪に沿って割れが入っている)がないもの、節、木筋を見極めて購入した原木を各寸別に製材します。製材した材木を桟積みし数年間自然乾燥します。

木地製造工程 2

型作り(花、葉、蕾、実など)のあと墨付けをします。そのあと曲線的な部分は型を写し大きめに荒挽して木取ります。木取りのあと接合面を鉋で削り整えボンド又は膠(にかわ)で接着します。

木地製造工程 3

はぎつけたものを、およその形(花、葉、蕾、実など)に切り落とし、のみで荒削りし大体の形を作ります。
このとき花びら及び葉は1枚1枚彫ります。荒削りの後、のみと小鉋で表面を薄く仕上削りをします。

木地(蕾・実・花弁など)の制作

軸木と花、葉、蕾、実などを下絵の通り正面に向くように組み立てます。
特に花の1枚1枚の花びら、葉などは後工程の下地、彩色が容易に出来るように取り外しが出来るようにします。

下地塗り工程

木地の凹凸箇所で目立つ部分をあらかじめ粗研ぎし平滑にしておきます。
木筋を見極め必要箇所には接着剤を擦り込みます。

漆塗り工程

刷毛で漆を塗っていきます。この時、埃等に細心の注意を払います。

もし埃が付いていたら針などで取り除きます。

温度と湿度を調節した「むろ」に入れて乾燥させます。季節に応じて乾燥時間が変わるのが難しいところです。

金箔押し工程

乾いた箔押し漆の上に漆を刷り込みして金箔を置いていきます。
これを「金箔押し」といいます。
金箔は非常に薄いので扱うのが困難です。
シワにならないようにするには熟練の技術が必要です。

彩色工程

水肥絵具や岩絵の具を用いて着色していきます。
金の線は金粉を膠(にわか)で溶いて面相筆で描いていきます。

仏像修復

木地補修

木地が欠損している部分は刻苧(こくそ)漆と木の粉を混ぜたものを練りこんで補修します。
木の接合部分には和紙や寒冷紗をはり割れを防ぎます。

下地工程

部位や必要条件に合わせて下地の種類を変えています。
堅地・・・漆と砥の粉を練り合わせたもの
半田下地・・・胡粉と膠(にかわ)を練り合わせたもの
下地は木地を守るのと同時に次の工程である彩色・漆を塗るときの仕上がり具合
にすごく差が出ます。しっかりした土俵が必要です。

漆塗り(下塗り・中塗り・上塗り)

漆を塗っていきます。塗れたらムロで乾かし砥石やペーパーで研ぎます。
研いだ後また凹凸のあるところは補修をして中塗りの漆を塗ります。
同様の作業ではありますがより粗度の細かい砥石などで研いでいきます。
最後に上塗りをします。

作品集